【解説022】感染症予防による臨時休業は学校の設置者、非常変災による臨時休業は校長が決定する。

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今回は学校の運営について、誰が決定するのか、ややこしいところを整理する。せっかくなので、本記事タイトルにない「休業日の設定」、「授業終始の時刻」もついでに追加しておく。該当する法律条文は以下の通り。

公立小学校の休業日(学校教育施行令第29条第1項)

公立の学校(大学を除く。)の学期並びに夏季、冬季、学期末、農繁期等における休業日(略)は、市町村のまたは都道府県の設置する学校にあたつては当該市町村又は教育委員会が(略)定める。

感染症の予防による臨時休業(学校保健安全法第20条)

学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。

非常変災等による臨時休業(学校教育法施行規則第63条)

非常変災その他気迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。この場合において、公立小学校についてはこの旨を当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会(略)に報告しなければならない。

授業開始の時刻(学校教育法施行規則第60条)

授業終始の時刻は、校長が定める。



上記4つの内容をまとめたのが以下の表である。

内容 決定するのは
公立学校の学期、休業日 当該の教育委員会
感染症の予防による臨時休業 学校の設置者(市町村や都道府県)
非常変災による臨時休業 校長(のちに教育委員会へ報告)
授業終始の時刻 校長

まずポイントとしては、決定元を「校長」なのか「行政側(教育委員会or設置者)」なのかで2つに分けておくことである。教育委員会と設置者は厳密には意味が異なるが(市町村の教育分野の実務を担当するのが教育委員会)、まとめて行政側としておくことで整理しやすくなる。

さて、表の話に戻るが、表の内容は無理に丸暗記するのでなく、目的から導き出すようにすると良い。
2番目の「感染症の予防による臨時休校」は感染症が広がるのを防ぐためなので、広域的な状況が把握できる立場の行政側(市町村など=学校の設置者)ということになる。3番目の非常変災は、例えば近くの川が氾濫したとか、その場で判断しなくてはならない状況が多いため、現場の様子がすぐわかる校長が判断することになる(臨時休校した場合はのちに教育委員会へ報告を行う)。4番目の授業終始の時刻も現場の細かい話ですから現場で、ということで校長が決定する。(1番目の学期や休業日については、学校ごとに学期の時期が異なりすぎると支障がでるから管理の目的から行政側(教育委員会)、と考えればよいだろう)



では演習。
(演習) 次の文の正誤判定をせよ。
(1) 区市町村または都道府県の教育委員会は、設置する学校の授業終始の時刻について、各学校の地域の実態等を考慮して定めることとされている。

→(誤)授業終始の時刻という細かい話は現場の責任者、校長が決定する。

(2) 都道府県教育委員会は、設置する学校及び区市町村立学校の学期及びそれに伴う夏季、冬季、学年末の休業日について定めることとされている。

→(誤)これはひっかかるかもしれないが、「区市町村立学校」の学期等についてなので、その区市町村の教育委員会が決めるのが正しい。

(3) 非常変災その他急迫の事情があるときで、教育委員会が必要と認めた場合、校長は臨時に授業を行わないことができる。
→(誤)非常変災時の臨時休業は教育委員会でなくて校長が判断。一刻を争う事態なので現場が判断してもいい(現実的には教育委員会とやり取りをして決めることがほとんどだが)。

(4) 学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。

→(正)感染症の広がりを防ぐ判断は広い範囲の情報のことが把握できる行政側=市町村など学校の設置者であるので正解。

今回は以上。おつかれさまでした。

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