【解説026】市町村の教育委員会は小学校入学前年の11月までに「就学時健康診断」を行い、学校は毎年6月までに「健康診断」を行う。

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今回はこれ。ちょっといろいろな話が出てくるのでまず表で確認しよう。

表上の、「就学時健康診断」というのはその名の通り、小学校入学前に行う健康診断のことである。対象の子どもは入学前年の11月末までに受ける。この診断結果をもとに就学時健康診断票が作成され、入学する小学校等の校長へ送付される。診断結果によっては、就学義務の猶予・免除や特別支援学校への就学指導等の措置を取る場合もある。



表下の「健康診断」は入学後に毎年1回行うものである。学校は健康診断を毎年6月30日までに実施し(学校保健安全法施行規則第5条)、その結果を元に健康診断票を作成しなければならない(健康診断票は以前の記事

【解説015】指導要録の学籍部分は20年間保存、あとは5年間保存

2017.12.25

でも登場した学校で保管する重要書類)。

健康診断のあとは、その結果の通知を21日以内に行い、健康診断後に必要な治療を受けるように指示を出すなどの事後指導を行う(学校保健安全法施行規則第9条)。

最後に、臨時の健康診断についても扱っておく。学校保健安全法施行規則第10条。

 

(臨時の健康診断)

法第十三条第二項の健康診断は、次に掲げるような場合で必要があるときに、必要な検査の項目について行うものとする。
一 感染症又は食中毒の発生したとき。
二 風水害等により感染症の発生のおそれのあるとき。
三 夏季における休業日の直前又は直後
四 結核、寄生虫病その他の疾病の有無について検査を行う必要のあるとき。
五 卒業のとき。

上を覚える必要はないと思われるが、どの場合も必ずやらなければならいわけではなく、必要に応じて実施できるということだけ押さえておこう。



では演習。5題。

(演習) 次の文の正誤判定をせよ。

(1) 学校においては、最終の学年に在籍する児童・生徒に対し、定期の健康診断を 6か月の間隔をおいて 年間 2 回行わなければならない。

→(誤)年2回はやりすぎやろ!って突っ込めた人は正解。在学中の健康診断は年1回。

(2) 区市町村の教育委員会は、翌学年の初めから公立の小学校、中学校及び中等教育学校の前期課程に就学させるべき者で、その区域内に住所を有するものの就学に当たって、その健康診断を行わなければならない。

→(誤) 区市町村の教育委員会が行う就学前の健康診断は、「就学前」とあるように小学校入学の前だけの話である。中学校入学前には当然ない。

(3) 学校においては、毎学年 4 月 30 日までに、児童生徒等の健康診断を行わなければならない。

→(誤)締め切りはやっ!と突っ込めたら正解。学校での健康診断は6月30日まで。



(4) 校⻑は、児童・生徒や地域の実態等を踏まえ、学校医の助言を受けて、定期健康診断の検査項目を身⻑、体重及び座高、視力及び聴力の中から選択して実施する。

→(誤) 自由すぎ。もちろん身長、体重、視力、聴力あたりはすべて必須の項目であって、その中から選んでやるものではない。

なお、検査項目は必須のものが11項目決まっている(学校保健安全法施行規則第6条)。興味のある人はリンクを貼っておくので調べてみよう。(なお、検査項目については、最近「座高」や「寄生虫卵」が無くなるというのがちょっと前に話題になりましたね)

e-Gov法令検索

学校保健安全法施行規則の一部改正等について(通知):文部科学省

(5) 学校においては、感染症が発生したときは、必要に応じて、臨時に児童・生徒等の健康診断を行うものとするが、食中毒が発生したときは、必ず、臨時に健康診断を行うものとする。

→(誤)臨時の健康診断はどの場合でも「必要に応じて」行うもの。法律的には必ずやらなければならないものはない。

今回は以上。お疲れ様でした。

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