【解説035】教員の採用については、教育長が選考し、教育委員会が任命する

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せっかくなので、採用という言葉よりも広い意味の、「任用」という言葉を説明しておく。「任用」には次の採用、昇任、降任、転任の4つがある。

「任用」の意味

採用…新しく現場に入れる人を決めること

昇任…教諭→主幹教諭のように(偉い)職に変わること

降任…昇任の逆。管理職つらっ!ってことでヒラ教員に降りるような場合など

転任…教員から教育委員会事務局などの行政職への異動など

「任用」のうち、「校長の採用」と「教員の採用および昇任」については次の法律に基づいて行われる。

教育公務員特例法第11条の要約(採用及び昇任)
公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、公立学校にあつてはその校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が行う。

ポイントは2つ。まず、「競争」試験ではなく、幅広い視点で「選考」試験で行われること。人に接する仕事のため、単純にテストの点数が良ければOKという風にはせず、人間性なども加味して決めましょう、というイメージ。



2つ目のポイントは、選考の主体が「教育長」であること。なんとなく教育委員会だろ、という感じがするが、選考するのはトップの人が、ということになっている。

毎年夏に行われるいわゆる採用試験は、「選考」を行なっているのである。正式名称は「教員候補者選考」などとなっているはず。そして選考が終わったあと、最終的に採用を決定して「任用(任命)」するのは次の法律で示すように「教育委員会」である。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第34条

教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定めがある場合を除き、教育委員会が任命する。

以上のことを表にまとめておく。

校長の採用、教員の採用・昇任について

方法 選考(競争ではない)
選考を行うのは 教育委員会の教育長
採用の任用(任命)をするのは 教育委員会

では演習。5問。

(演習) 次の文の正誤判定をせよ。
(1) 公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、競争によるものとし、その競争試験は、その校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が行う。

→(誤)「競争」ではなく「選考」。

(2) 教諭の採用は、選考によるものとし、その選考は、任命権者である教育委員会の教育長が行う。

→(正)あってます。



(3) 教育公務員特例法では、公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は当該学校を設置する地方公共団体の長が行うとされている。

→(誤)選考するのは「地方公共団体の長」でなく「教育長」。

ここでちょっと変わった傾向の問題をひとつ。

(4) 公務員は、一般職と特別職とに分けられており、教員は一般職とされているが、校長は、その責任の重要性から特別職として任用されている。

→(誤)これは迷う方かもしれないが、校長も教員も一般職である。公務員の特別職というのは国会議員や知事などごく限られた職種である。あまり出題されることは無い知識だと思われるが、一応扱ってみました。

最後に、細かい知識を問う問題。
(5) 公立学校の教諭として勤務していたが、当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受けた者を、当該処分の日から二年を経過した時点で教諭として採用できる。

→(誤)「懲戒免職時の免許状の取り上げ」または「免許状の失効時」のあとは、3年間を経過しないと採用することができないことになっている。また、「禁錮刑」以上だと教員人生の終了が確定する。詳しくは次の通り。

学校教育法第9条
次の各号のいずれかに該当する者は、校長又は教員となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられた者
三 教育職員免許法第十条第一項第二号又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者
四 教育職員免許法第十一条第一項から第三項までの規定により免許状取上げの処分を受け、三年を経過しない者
五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

免許状の失効や取り上げについては次の記事も参照されたい。

【解説047】免許管理者は免職時には取上げを行う。また、失効時には返納先になる

2018.01.28

今回は以上。おつかれさまでした。

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