【解説055】デューイ思想の継承者3人。プロジェクト・メソッドのキルパトリック、「個」重視ドルトン・プランのパーカスト、「個と集団」両方重視ウィネトカ・プランのウォッシュバーン

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今回はデューイの影響を強く受けた方々について。

デューイ(1859-1952)は新教育運動を理論的に体系化し、子どもが主役で活動を重視した教育を行ったことで有名(前回記事参照)。そのデューイの影響は大きく、デューイ思想を受け継いだ人たちが複数登場する。どんな人がどんな教育方法を考えたのかをみていこう。子ども中心、活動重視であることはすべてに共通である。なお、デューイについてはこちら。

【解説053】1900年またぎでヘルバルト派から子ども中心の流れへ。児童中心主義のエレン・ケイ、実験学校を作ったデューイ

2018.02.18

キルパトリック(1871-1965,アメリカ) のプロジェクト・メソッド

デューイの弟子。子どもの生活や興味と無関係な知識の習得をさせていた今までの講義法を改め、現実の世界から取り出した学習内容を設定すべきだと考えた。キルパトリックは目標設定・計画・遂行・評価の段階を経て教授する、プロジェクト・メソッドを提唱した。デューイ自身が提唱した問題解決学習を具体化・精密化したものと考えてよいだろう。

パーカスト(1887-1973, アメリカ)の「個」重視ドルトン・プラン

大きな特徴は学級を廃止することである。学級という単位の学習ではなく、生徒が自ら設定した学習プランに基づいて個別学習を行なっていく。「個」を重視した教育方法といえるだろう。



ウォッシュバーン(1889-1968, アメリカ)の「個と集団」両方重視ウィネトカ・プラン

「個」を重視したドルトン・プランに対して、いやいや「個」と「集団」の両方が大事だといったのがウォッシュバーンのウィネトカ・プラン。国語算数などの教科は個別学習、体育や芸術科目は集団で協力するなど、教科の特性によって学習方法を使い分けているのが特徴的である。

余計なお世話かもしれないが、ウォッシュバーン-ウィネトカプランの組合せは、両方とも頭文字がウであることから覚えておくとよいだろう(人名や教育方法でウから始まるものは、あまりなさそうですので有効な覚え方だと思います)。

では演習。

(演習)

次の文の( )に適する人物名を、次の選択肢の中からそれぞれ選べ。

【選択肢】キルパトリック、パーカスト、ウォッシュバーン、ブルーナー

(1) (     )は、従来の学校組織から生徒を解放し、学校を社会化することによって、生徒自らが実験者となり得るように、学校を社会的実験室にすることを提唱する「ドルトン・プラン」を実施した。

(2) (     )は、生徒自身が企画・立案し実行するひとまとまりの活動を通して問題解決型の学習を行わせる「プロジェクト・メソッド」を考案した。

(3) (     )の提唱した学習方法は、カリキュラムを、読み、書きなど共通基礎教科と集団的・創造的活動に分け、共通基礎教科については、個人差に応じて個別に学習できるよう細かい段階に分けた教材を用意するなどにより確実な習得を目指し、集団的・創造的活動については、子供自身の興味や自発性を尊重するため子供の発案によるプロジェクト等を積極的に進める。

(4) 発見学習は、(     )の理論などによるもので、知識や結論を学ぶだけでなく、その生成される過程や結論の導き出される過程に、学習者が主体的に参加(追体験)する形で進められる学習指導法のことをいう。

(解)

→(1) パーカスト (2) キルパトリック (3) ウォッシュバーン (4) ブルーナー

(4) のブルーナーは発見学習の提唱者として有名。発見学習は生徒の主体的な思考活動に基づいて法則・概念・関係を気づかせようとする学習方法である。

ブルーナーはアメリカのスプートニクショックへの対応として開催された、カリキュラム改造のウッズホール会議の議長を務めた人物でもある。その会議の翌年に出した著書『教育の過程』のなかで彼は「どの教科でも知的性格をそのままに保って、発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる」と主張している。この流れが「教育の現代化」につながっているのである。なお、ブルーナーについては以下記事でも扱っています。

【解説050】学習指導要領の変遷は流れで覚える

2018.01.28

今回はここまで!

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