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【解説065】学習理論。ソーンダイクの試行錯誤説、スキナーのオペラント条件付け。ケーラーの洞察説、トールマンの認知地図

今回はこれ。

学習理論。ソーンダイクの試行錯誤説、スキナーのオペラント条件付け。ケーラーの洞察説、トールマンの認知地図。

 

ソーンダイクの試行錯誤説

次の実験が有名。

空腹のネコを柵付きの箱(この箱を「問題箱」といいます)の中へ入れ、外側に餌をおいておく。箱の中にはひもがあり、それを引くことで柵が開く仕組みになっている。ネコははじめのうちは餌に手を伸ばしたりするが、そのうち偶然にひもに手が触れて柵が開くことを知る。その経験を繰り返すことで箱に入れられてから出るまでの時間が短くなる。このように試行錯誤を通して学習が成立するということから、ソーンダイクは試行錯誤説を提唱した。

(ちなみに、私は覚え方として、ソーンダイクは「損,大工」ということでで試行錯誤で材料費を無駄にした大工さんと覚えました。 )

 

スキナーのオペラント条件づけ

ソーンダイクと同様の実験を、スキナーはネズミで行っている。ネズミが入った箱(スキナー箱)の中にはレバーがあり、それをネズミが押すことで餌を食べることができる仕組みになっている。経験によってレバーを押すことと餌が出てくることが結びつき、ネズミがレバーを押す頻度が高まる。このような学習をオペラント条件付けという。オペラント条件付けでは、学習者の行動が自発的であることに注意しよう。

オペラント条件付けは、パブロフの犬に代表される、それまでの刺激と反応を機械的に結びつける「古典的条件付け(レスポンデント条件付け)」とは区別される。

 

ソーンダイクの試行錯誤説、スキナーのオペラント条件付けはともに外界の刺激との反応の間に連合(結びつき)が生じることで学習が成立する考えのことで、「連合説」と呼ばれる。

 

次に刺激と反応の単なる結びつきではなく、刺激の受け止め方や意味づけが変わることで学習が成立するとする立場の「認知説」から2つ紹介する。

 

ケーラーの洞察(どうさつ)説

ケーラーは、チンパンジーを檻に入れ、檻の外にあるバナナをどのようにとるのか観察した(知恵実験)。チンパンジーに課せられた課題は、手元の短い棒を使って、檻の外にある長い棒を引き寄せ、その長い棒によってバナナを引き寄せるという多少複雑なもの。チンパンジーは試行錯誤をずっと続けるのではなく、しばらくどのようにすればバナナを手に入れられるのかを考た上で、それらの手順をこなした。つまり試行錯誤を繰り返して偶然成功するのではなく、その場全体の状況を把握して、見通しをもって行動したのである。

このように、試行錯誤によらず全体の状況から思考することによって学習がすすむという考え方を洞察説という。

 

トールマンの認知地図

トールマンはネズミを用いた迷路学習の実験を行った。ネズミはゴール地点に餌が置かれていない状態でも迷路を走るという経験を通して認知地図を作り上げており、いったん餌が置かれると、その地図を思い出しながら迷路を素早く走り抜けてゴールにたどり着くことができる。このことからトールマンは、学習は刺激と反応の連合ではなく、目的と手段が結びつく関係であると考えた。

(これもくだらない覚え方ですけど、トールマン→「通るマン」ということで、迷路を通る実験で認知地図のことを言った人、と覚えてはどうでしょう。)

 

では演習。

 

(演習)

次の文の( )に適する人物名を、次の選択肢の中からそれぞれ選べ。

【選択肢】スキナー、ソーンダイク、ケーラー、トールマン、バンデューラ

 

(1) (     )は、環境により強化された行動は次第に発生頻度が増加し、環境により弱化された行動は次第に発生頻度が減少するといった、周囲の環境条件が生物の行動を決定するという考えに基づく「オペラント条件付け」の組織的な研究を行った。レバーを押すと給餌される仕掛けを備えた実験装置を使って、ラットやハトの行動形成過程である強化のスケジュールの詳細な研究を進めた。(2016年実施19)

 

(2) チンパンジーに天井から吊るしたバナナを取る問題を課したところ、突然、そばにあった箱を踏み台にしてバナナを手に入れた。(     )はこのような問題解決行動は、問題場面に対する認知構造を転換することによって可能となるのであり、場面全体の見通しを獲得することであると説明した。(2015年実施14)

 

(3) (     )は、簡単な留め金のついた箱に空腹のネコを入れ、ネコがどのようにこの箱から脱出することを学習するかを観察し、試行錯誤でさまざまな行動を行なっているとき、ある行動の後にすぐさま望ましい結果がもたらされれば、その行動が選択的に強められると考えた。(2014年実施23)

 

(4) (     )は、迷路学習の研究において、報酬に至る経路を学習したネズミが、その経路をふさがれたとき、別の経路を選択した行動を見出したことから、ネズミは出発地と目的地を含む空間全体を学習しているとして、これを認知地図と名付けた。(2011年実施13)

 

(5) (     )は、人間の行動の形成、変容、発達に、社会的諸条件が果たしている役割を重視し、社会的学習理論を提唱した。社会的学習理論は外的直接的強化による学習よりも、模倣による意図的学習を重視している。また、人間がボボ人形に暴力を働いている映像を見た子供は、人間がボボ人形に愛情をもって接している様子を見た子供よりも、ボボ人形に対して攻撃的になることを明らかにした。(2016年実施19)

 

 

(解)

(1) →スキナー (2)→ケーラー (3)→ソーンダイク (4)→トールマン (5)→バンデューラ

 

(5) のバンデューラは他者の行動やその結果をモデルとして観察することによって、観察者の行動に変化が生ずることをモデリング(観察学習)とよび、社会的学習理論を提唱した。

バンデューラが行った有名な実験に、「ボボ人形」の実験がある。この中で人形に暴力的な大人の姿を見た子どもが同様に人形に暴力的になるという内容が示されていて、興味深い。YouTubeなどでも見られるようであるので、一度見ておくとよいだろう。(若干ホラーっぽくてちょっと怖い。)

 

 (参考文献)