きょうさい対策ブログ

主に東京都・神奈川県・埼玉県の教員採用試験(教採)の対策にどうぞ。

【解説071】投影法による性格検査その1。インクのシミが何に見えるか答えるロールシャッハ・テスト、漫画の吹き出しセリフを埋めるP-Fスタディ、木の絵をかくバウム・テスト

今回はこれ。

投影法による性格検査その1。インクのシミが何に見えるか答えるロールシャッハテスト、漫画の吹き出しセリフを埋めるP-Fスタディ、木の絵をかくバウムテスト

 

前回質問紙法はアンケートっぽい感じで、質問にはい、いいえなどで答えるような形式であったが、

今回の投影法の場合は、思ったことを言ったり、文章や絵を描いたりなど自分の内面をそのまま表現することが特徴となる。

 

東京都の教採は投影法が好きなのか、押さえておくべきものが6つもある。3つずつ、2記事に渡って紹介する。

 

 

インクのシミが何に見えるか答えるロールシャッハ・テスト

左右対称のインクのシミをみて、何に見えるか答えてもらう。「どこ」を「どのような特徴から」「何に」見えたのかを記号化の過程を経て整理され、最終的に各記号の頻度や反応時間、反応数などから人格特徴を診断していく。この検査結果から外界との関わり方、欲求、情緒の処理の仕方、現実吟味力などの情報がもたらされる。

 

ロールシャッハテストの「インクのシミ」画像を見たことがない方は是非調べてみると良いだろう。

ロールシャッハ・テスト - Wikipedia

 

 

漫画の吹き出しセリフを埋めるP-Fスタディ

Picture-Frustration Studyの略で日本語では絵画欲求不満検査という。ローゼンツヴァイクという人が考案した。

冊子の中に、日常生活で起こりうる欲求不満場面が描かれており、いずれも左側の話しかけている人物が右側の人物に不満を起こさせている。

被検査者の判断で右側の人が答える言葉を吹き出しに書いてもらい、その反応から外罰傾向、自責傾向、無罰傾向の3種類に分類して性格を診断する。

 

木の絵を描くバウム・テスト

バウムっていうのはドイツ語で木のことである。(「バウムクーヘン」というお菓子は木を切ったときの断面に似ているからつけられた名前だそう 。)

A4の白い画用紙と鉛筆消しゴムを与えて実のなる木を自由に描いてもらう。その木がどのように描かれたのかを見ることで性格検査を行う。木は地面に対して直立し展開するという性質から自己像が投影されやすいとされている。例えば太い幹を描く人は自信を持っているとか、描いてもらった木の形からいろいろ判断できるようである。

 

では演習。

 

(演習)

次の文の(   )に入る適切な語句を選択肢の中から選べ。

【選択肢】ロールシャッハ・テスト、P-Fスタディ、バウム・テスト

(1) (     )は、左右対称のインクのしみからなる10枚の図版を1枚ずつ定時して、「何に見えたか」、「どこに見えたか」、「どうしてそのように見えたか」などを被検査者に問い、その回答から測定する。(2014年実施24)

 

(2) (     )は、被検者に実のなる木を1本描かせ、被検者の心理状態をさぐろうとするもので、描かれた木には自己像が投影されると考えられている検査である。(2012年実施22)

 

(3) (     )は、被検者に欲求不満場面のイラストを見せ、登場人物の発言を想像させ回答させることで、外罰、内罰、無罰の各型の人格傾向を見いだす検査である。(2012年実施22)

 

 

(解)

(1) →ロールシャッハ・テスト (2) →バウム・テスト (3) →P-Fスタディ

 

 

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都教採2017年17番の問題について思うこと〜難度および臨床上の理由から不適切では?〜

(補足:2017年の性格検査の出題について)

2017年の東京都教採の性格検査の出題(問題番号17)は、過去14年間に比べ、難度が急に跳ね上がった。

 

例えばロールシャッハ・テストについては、「インクのシミを見て答える性格検査」という知識だけでは正誤判定ができず、テストによる「色彩反応」と「運動反応」からどのような性格であると判断できるのかという、採用試験でここまで問うか?と思わされる内容になっている。

 

実際、色彩反応や運動反応からどのような判断ができるのかという知識は、以下の参考書では確認することができない。

・一ツ橋書店『教職教養ランナー』

時事通信社『教職教養30日完成』

・東京アカデミー『教員採用試験対策参考書2[教育心理 教育法規]』

有斐閣アルマ『心理学・入門 --心理学はこんなに面白い』

 

メジャーな参考書を複数冊見ても確認が取れないような知識を出題するはいささか疑問を覚える。心理学の資格試験ではないので、教員採用試験のレベルでは、「ロールシャッハテスト=インクのシミが何に見えるか答えるテスト」ぐらいの知識を試す程度で十分ではないか?

どうしてもそのような出題をしたければ、被験者の性格判断に必要な情報をすべて問題文にかき、それを元に具体的な被験者のデータから性格を判断させるなど、特別な知識を必要としない出題にすべきである。

 

また、難しさ以前の問題として、性格検査に関して「どんな風に答えるとどんな性格と診断される」という内容を公表するのは不適切ではないか。(2017年出題の問題には、例えばバウム・テストの説明文で、どのような形状の木を描くかによってどういう性格か判断できるような内容も含まれていた)

 

2018年の出題で、知識偏重の傾向が進まないことと、性格検査の目的を考えた上での出題となることを祈る。

 

 

 (参考文献)