今回は適応規制の話。
フロイトによる、エス、自我、超自我の話を思い出そう(まだの方は以下の記事もご覧いただきたい)。
欲望のままにやりたい放題のエスと道徳性を持った超自我との間の調整を行うのが「自我」の役割だが、ときに負担が大きい状態になると、自我を守るための行動をとることがある。これを適応機制といい、その内容によって、防衛機制、逃避機制、攻撃機制に分類される。
採用試験レベルでは、言葉をみてどういう意味か言えればOK。文字通りの説明がいらないようなワードは軽く流す程度でよいが、太字のワードについては特に注意するとよいだろう。
防衛機制(合理化、投射、同一視、抑圧、補償、代償、昇華、反動形成)
合理化は、理屈をつけて正当化すること。自己の不満や矛盾について、自我を傷つけないような受け入れやすい理由によって正当化する。
投射は、自分の中の認めたくない感情を他人が持っていると認知する機制。自分のネガティブな気持ちを相手へ”投射”するわけである。例えば(自分が嫌いなだけなのに)「あの人は私のことを嫌っている」などが投射に当たる。
同一視は、自分の理想としている他者の価値観や態度を取り入れ自己と同一視し、同化しようとすること。取り入れとも。流行しているアイドルのファッションを真似ることなどが当たる。
抑圧は、自分が経験した不快な体験や認めがたい観念などを、無意識の世界に追いやること。
補償は、ある面での自己の不満を他の面で努力してカバーすること。「スポーツが苦手な分、勉強は頑張る」というようなことである。
代償は、ある目標を達成しようという欲求が叶えられないとき、その欲求が向けられている対象と類似した別の対象に置き換えることで欲求不満の解消をすること。「アメリカへ旅行へ行きたいがいくお金がないので動画を観て満足しようとする」
補償と代償は似ているが、その違いは自分に対して劣等感があるか(補償)・ないか(代償)である。
昇華は、社会的によろしくない欲求を社会的、文化的に価値の高い目的に向けられて努力すること。「愛児を捨てた親が心の傷を児童教育書に託し思想家となる」など。(←これはルソーのことかな?)
反動形成は、自己にある弱点に対する批判を避けるために、文字通り正反対の行動や態度をとること。「好きなのに意地悪な態度をする」などがこれにあたる。
逃避機制(退行、逃避)
退行は、解決することが困難な状況で、より未発達な段階の適応をすることによって安易な解決を図ること。赤ちゃんがえりなどがこれにあたる。
逃避は、その文字通り現実の困難な状況から逃げる消極的な機制のこと。特に、空想の逃避は白昼夢とよばれる。
攻撃機制
文字通り、破壊的行動や反抗的態度で欲求不満を解消する機制のこと。物を壊したり人に八つ当たりすること以外にも、攻撃が自分に向く自傷行為もこれに含まれる。
では演習にうつろう。
(演習)
次の文の( )に当てはまる語句を【選択肢】の中から選べ。
【選択肢】合理化、投射、補償、昇華
(1) 劣等感による緊張の解消を図るために、自分のほかの望ましい能力を強調して心理的安定を図ろうとすることを( )という。
(2) 自分の欠点や弱点に劣等感を抱いていることを認めず、他の人に映し出して、あたかもその人がもっているものであるかのようにみなして行動することを( )という。
(3) 自分の本当の動機を隠して、自分の行動やおかれている状況を正当化し、自己防衛を図ることを( )という。
(4) 社会的に認められない欲求を、別の社会的・文化的に価値の高い目標に向け換えることで、満足を得ようとすることを( )という。
(解)
(1) →補償 (2) →投射 (3) →合理化 (4) →昇華
今回はここまでです!
記事内で解説したフロイトによる、エス、自我、超自我についての解説は以下をどうぞ!