【易しめ解説04】1900年以降の4人。エレン・ケイ、デューイ、ブルーナー、デュルケム

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ちょっと復習

四段階教授法といえば…??

…ヘルバルトですね。1800年代はヘルバルトとその弟子であるツィラー、ライン(まとめてヘルバルト派と言われます)の勢力が強い時代でした。ところでみなさん、教職課程の授業などで学習指導案を作成したことはありますか?指導案では導入、展開、まとめという構成で授業計画を立てることが多いですが、実はそれはもともとはヘルバルトの四段階教授法からきているものなのです。

そのようにヘルバルトは教育の教授法に関して強い影響を残しているのですが、1900年前後になると、四段階教授法に代表される「教師主導」のやり方に対して批判が生まれ、子どもが中心であるという考えが登場します。



児童中心主義エレン・ケイ、問題解決学習デューイ、発見学習ブルーナー

エレン・ケイ(1849-1926, スウェーデン)は、今までの権威主義の教育を反省し、20世紀を児童のための世紀とすることを宣言しました(児童中心主義)。主著は『児童の世紀』そのなかで、「教育の最大の秘訣は、教育しないことになる」とも述べています。ガンガンに教え込もうとするのではなく、子どもを主役にした実践を行うべきだと主張したのです。子どもを中心にして考える、というのは前回の記事で説明したペスタロッチに近い考え方といえます。

エレン・ケイのキーワード

・児童中心主義
・『児童の世紀』
・「教育の最大の秘訣は教育しないことにある」

 

デューイ(1859-1952, アメリカ)はシカゴ大学付属小学校をつくり、「進歩主義教育」と呼ばれる実践を行いました。彼は『学校と社会』の中で、カリキュラムは教師が一方的に教えればよいというものではなく、「経験」を通して子どもと有機的に結びつくことができると考えました。

また、学習理論として問題解決学習を提唱しました。

デューイのキーワード

・進歩主義教育
・『学校と社会』
・問題解決学習

 
ブルーナー(1915-2016, アメリカ)はわりと最近の人ですね。著書『教育の過程』で、デューイの問題解決学習に系統学習の利点を取り入れた発見学習を提唱しました。
ブルーナーのキーワード

・『教育の過程』
・発見学習



「教育と社会学」デュルケム

デュルケム(1858-1917, フランス)は乱れた社会秩序を立て直すために教育の力で社会改革を行おうとしました。『教育と社会学』の中で「教育とは、子どもの体系的な社会化である」と述べています。

デュルケムのキーワード

・『教育と社会学』

 (演習)

演習を3つ用意しました。前回、前々回記事の知識も使いますのでまだの人はそちらを先に読んでおくとよいです。

(演習1)

次のア〜エは、近現代の教育の中で、大きな影響を与えた教育者の主な著書名である。対応する著者を選択肢から選べ(2011年実施37)。
(ア)「大教授学」
(イ)「エミール」
(ウ)「ゲルトルート児童教育法」
(エ)「教育と社会学」
【選択肢】ペスタロッチ、ルソー、コメニウス、デューイ、ヘルバルト、デュルケム

(解)

(ア)〜(ウ)の3人は前回記事までに解説済みです。

(ア)「大教授学」からコメニウス

(イ)「エミール」からルソー

(ウ)「ゲルトルート児童教育法」からペスタロッチ

(エ)「教育と社会学」からデュルケム

(演習2)

次の(ア)〜(エ)の著者を選択肢から選べ(2016年実施37)。

(ア)『学校と社会』 (イ)『隠者の夕暮れ』(ウ)『児童の世紀』(エ)『一般教育学』
【選択肢】ペスタロッチ、ヘルバルト、デューイ、ケイ
→デューイ、ペスタロッチ、ケイ、ヘルバルト

(解)

(イ)と(エ)は前回記事で扱っています。

(ア)「学校と社会」から経験を重視したデューイ

(イ)「隠者の夕暮れ」から民衆教育の父ペスタロッチ

(ウ)「児童の世紀」からエレン・ケイ

(エ)「一般教授学」から四段階教授法のヘルバルト

最後に、ブルーナー関係で一つ。



(演習3)

アメリカのブルーナーの教育改革について述べた次の文章を読み、[ ア ]〜[ エ ]にあてはまる言葉の組合せとして正しいものを、次の①〜⑤の中から選べ(2006年実施36)。
1959年、アメリカの初等・中等学校における[ ア ]教育をどう改善するかを検討するために、ウッズ・ホール会議と呼ばれる会合がもたれた。ブルーナーは、1960年この会議の成果をまとめ、当時アメリカで進行中の「教育改革」を理論化した「[ イ ]」を発表した。ブルーナーは「[ イ ]」のなかで、教科の「構造」つまりある一つの学問のもっている基本的観念と、それへの接近の方法としての[ ウ ]を二大柱とした教育の[ エ ]を説いている。ブルーナーは、「教科の課題は、その教科の構造をつくりあげている根底にある原理について得られるもっとも基本的な理解によって決定されなければならない」と述べて、教科の「構造」の重要性を強調する。そして教育方法として[ ウ ]を提唱した。

①ア 自然科学  イ 教育の過程 ウ 問題解決学習 エ 構造化

②ア 人文科学  イ 教育の未来 ウ 発見学習   エ 現代化

③ア 自然科学  イ 教育の未来 ウ 課題学習   エ 構造化

④ア 人文科学  イ 教育の未来 ウ 課題学習   エ 個性化

⑤ア 自然科学  イ 教育の過程 ウ 発見学習        エ 現代化

(解)→⑤

ブルーナーについて「発見学習」と『教育の過程』を知っていれば解答できるでしょう。なお、ブルーナーはスプートニクショック関連の流れで開催されるウッズホール会議の議長をした人物です。いかに流れをまとめておきます。知っていると学習指導要領の整理に役立つでしょう。

スプートニクショック〜教育の現代化の流れ

ソ連がアメリカよりも先に人工衛星スプートニクを打ち上げる

アメリカ側「おれたちソ連に科学技術で負けてるんじゃね?やばくね?」

「学校で教える内容をもっとなんとかしないとダメだ」

(ウッズホール会議)

ブルーナー「(私の方法でやれば)どの教科でも知的性格をそのままに保って、発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる」つまり教育内容難しくしても大丈夫だよ〜ん

おっしゃ〜どんどん教えたれ。

(日本にも波及)

教育内容の現代化で昭和43年改訂の学習指導要領で内容が増えまくる

落ちこぼれの増加で昭和52年改訂から「ゆとり」というワードが登場する…

 

ということで02〜04の記事3回分で12名の人物を扱いました。再掲して起きますので、どんなことをやったのか言えるか、もう一度確認してみてくださいね。

1800年以前の4人

…コメニウス、ルソー、ロック、コンドルセ

1800年またぎの4人

…ペスタロッチ、フレーベル、カント、ヘルバルト

1900年以降の4人

…エレン・ケイ、デューイ、ブルーナー、デュルケム

今回はここまで。おつかれさまでした。

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