【易しめ解説07】心理学の3大派閥。精神分析学、ゲシュタルト心理学、行動主義

YouTubeでも情報更新しています!

心理学の歴史の最初の方をまとめます。

心理学のはじまりはヴント

心理学の世界で最初に名前があがるのがヴント。心理学実験室をはじめて整備した人物です。ヴントの手法は、断片的な刺激を実験参加者に与えて、その反応を取り出しそれらの要素を組み合わせて考察する方法で、構成心理学と呼ばれることもあります。

ヴント以後の心理学の発展で、3つの派閥が登場することになります。それぞれの特徴と提唱者を整理していきましょう。



心理学の3派閥。精神分析学、ゲシュタルト心理学、行動主義心理学

精神分析学ーフロイト

精神分析学の提唱者として有名なのがフロイトです。フロイトは、自分でも意識化することのできな心の領域である「無意識」によって、精神病理が引き起こされていると考え、それらを意識化することで精神病理を治そうと考えました。(弟子のユングとともに、「リビドー」という性的エネルギーを意味する言葉を使ったことでも有名です。余裕があれば「リビドー」という言葉も覚えておいてください。)

ゲシュタルト心理学ーウェルトハイマー、ケーラー、コフカ

人間の複雑な行動やこころは要素に分解できるものではなく、全体として捉えることに重きを置いたのがゲシュタルト心理学です。

全体性の重要さを理解する現象として、仮現運動と呼ばれるものがあります。これは、暗闇の中で2点A,Bを交互に適切なスピードで光の点滅をさせると、光がA,B間を動いているように感じる現象のこと。各点ごとに見ればただの点滅に過ぎないけれども、全体(=2点)を同時に捉えるからこそ動きを感じることができているというわけです。

提唱者のうち、ケーラーはチンパンジーの道具実験により、洞察説を主張した人としても有名です。後日学習の範囲で扱います。

行動主義心理学ーワトソン

複雑なこころを観察するのではなく、観察可能な「行動」に注目を当てたのが「行動主義心理学」である。どのような刺激を与えるとどんな反応=行動をするのかという客観的事実を元に学問を展開しようとしたのです。



教育心理学のソーンダイク

ソーンダイクは教育に客観的な数値などによる測定を導入しようとする教育測定運動の父として知られます。主著は『教育心理学』。また彼はネコの柵付き箱による実験で「試行錯誤説」を提唱したことでも有名です。学習の分野で再び登場することになるでしょう。

(演習)

(演習1)

次の各文は「心理学の歴史」の一端について述べたものである。ア〜オに入る人物名を答えよ。(2005年実施13)
(1) 構成心理学を唱えた( ア )は、それまで生理学者などによってなされていた心理学的研究成果を集めて一つの体系をつくったり、各国の心理学者を教育するなど、心理学の発展に大きな貢献をした。
(2) ( イ )にはじまる精神分析学、( ウ )、ケーラー(Kohller, W.)、コフカ(Koffka, K)らによってはじめられたゲシュタルト心理学、( エ )によって提唱された行動主義は、現代の心理学に強い影響をあたえている3大学派である。
(3) ネコの問題箱実験から学習の試行錯誤説を唱えた( オ )は、自己の学習説を教育の分野に適用して『教育心理学』を著し、教育心理学の発展に努めた。
【選択肢】フロイト、ヴント、ワトソン、ウェルトハイマー、ソーンダイク

(解)

(ア)構成心理学ということでヴント。

(イ)精神分析学ということでフロイト。

(ウ)ゲシュタルト心理学の提唱者ということでウェルトハイマー。

(エ)行動主義はワトソン。

(オ)教育心理学を著したということでソーンダイク。

(演習2)

次の各文は、教育心理学上有名な人物について述べたものである。各文の[ア]〜[ウ]に当てはまる人名の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑤のうちから一つ選びなさい。(2011年実施39)
(1) アメリカ合衆国の心理学者で、教育心理学の始祖ともいわれている[ ア ]は、行動のもたらす結果について学習が進むことを効果の法則と呼び、多くの失敗を重ねながら成功をもたらす行動に絞っていく過程を試行錯誤学習と呼んだ。
(2) ウェルトハイマーとともに、ゲシュタルト心理学を創設したドイツの心理学者の[ イ ]は、柵の外にあるバナナをとるチンパンジーを使った実験で、その課題解決の知恵の基本的な仕組みとして、洞察説を提唱した。
(3) 新行動主義の創始者であるアメリカ合衆国の[ ウ ]は、学習にとって最も必要な条件は問題事態の認知であるととらえ、学習を何が何に導くかという手段―目的関係の形成と見なすサイン・ゲシュタルト説を提唱した。

①(ア)ソーンダイク (イ)ケーラー   (ウ)トールマン

②(ア)ワトソン     (イ)トールマン  (ウ)サーストン

③(ア)ソーンダイク (イ)トールマン  (ウ)サーストン

④(ア)ワトソン     (イ)ケーラー  (ウ)トールマン

⑤(ア)ソーンダイク (イ)ワトソン   (ウ) トールマン

(解)

①が正解です。

[ア]試行錯誤説ということからソーンダイク。なお、〇〇〜の始祖とか〇〇〜の父という表現で覚えるのはいろんな人と混ざってしまうのでオススメしません。

[イ]ゲシュタルト心理学の創始者あるいは洞察説という言葉からケーラー。

[ウ]今回は消去法で答えられればOKです。ネズミの迷路実験で認知地図を提唱したトールマン。

今回は以上です。おつかれさまでした。

【PR 2024年実施教採向け】
シリーズ累計2500名以上の先輩たちが利用したわかりやすい動画講義です。教職教養の基礎を効率的に学習しよう!↓