きょうさい対策ブログ

主に東京都・神奈川県・埼玉県の教員採用試験(教採)の対策にどうぞ。

【神奈川解説15】ヴィゴツキー「発達の最近接領域」、ボウルビィ「アタッチメント」

今回は、発達分野でこれまでの記事で扱いきれなかった2人についてです。

 

ヴィゴツキー「発達の最近接領域」

ヴィゴツキーは、発達の水準を2つに分け、その間にある領域を「発達の最近接領域」と名付けました。

・現在の発達水準…子どもが自主的に解決できること

 (間にあるのが「発達の最近接領域」)

・明日の発達水準…自主解決は不可能でも、適当な助言や教示があれば解決可能

「明日の発達水準」は教師など教える側の働きかけによって示されることが多いのですが、学習が進むことで「現在の発達水準」に変化しうるものです。ヴィゴツキーの理論は、教師のはたらきかけの重要性を示したということもいえるでしょう。なお、文献によっては「明日の発達水準」と「発達の最近接領域」を同等の使い方をしているものもあるので、これについては厳密に区別する必要はなさそうです。

 

ボウルビィ「アタッチメント」

ボウルヴィと表記されることが多いようですが神奈川県ではボウルビィ表記で出題されていますのでこちらに合わせます。親子の関わりが日々繰り返されるうちに次第に子どもと親との間に情愛的な結びつきが形成されます。この結びつきをアタッチメント(愛着)といいます。ボウルビィと言われたらアタッチメントと思い出せるようにしておきましょう。

また、ボウルビィはアタッチメント=愛着行動がどのように進行するのかを次の4段階で示しています。2008年に一度出題されただけのあまりメジャーな内容ではありませんが一応かいておきます。

愛着行動の段階

・第1段階 人物弁別を伴わない定位と発信

…定位とは周囲を確認して存在を確認する行動です。周囲の人間に対して人物の識別をすることなくつかむ、微笑する、泣くなどの行動を行います。

・第2段階 1人の弁別された人物に対する定位と発信

…特に母親の存在を認識し、愛着行動を発達させます。

・第3段階 発信ならびに動作の手段による弁別された人物の接近の維持

…特定人物への愛着行動が深まり、外出する母親を追うなど自ら接近しようとします。

・第4段階 目標修正的な協調性の形成 

…母親が目の前にいなくても存在することを認識します。

 

では演習を4問ほど。今までの発達分野の内容も含まれますから、良い復習になるでしょう。

 

(演習)

 

(演習1)

次の各文は、発達の理論について述べたものである。[ ア ]〜[ エ ]に当てはまるものを選択しから選びなさい。(2013年実施39)
(1) [ ア ]は、性的エネルギーであるリビドーを行動の原動力ととらえ、リビドーの発達により個人の発達を理論づけた。
(2) [ イ ]は、道徳的ジレンマを含んだ物語を聞かせ、その物語に対する道徳的判断の仕方によって、道徳性の発達を3水準6段階に分けた。
(3) [ ウ ]は、人間が環境へ適応する際には、シェマの同化と調節による均衡化が重要であると考えた。
(4) [ エ ]は、環境の要因を重視し、環境は単に個体が相互作用する対象ではなく、行動の一部だと考え、発達の最近接領域という概念を提唱した。
【選択肢】コールバーグ、フロイトピアジェヴィゴツキー

 

(解)

[ア]フロイト、[イ]コールバーグ、[ウ]ピアジェ、[エ]ヴィゴツキー

 

(演習2)

次の文の[   ]にあてはまる語句として最も適当なものを、次の①から⑤の中から選べ。(2010年実施42)
ボウルビィは、発達初期の母子間の密接な人間関係が子どものその後の発達や精神衛生の基盤となるだけでなく、対人関係のあり方にも重大な影響を与えると考えた。子どもの母親に対する特別な心の結びつきをボウルビィは、[   ]と呼んだ。
アニミズム ②アタッチメント ③アイデンティティ ④ホスピタリズム ⑤インプリンティング

 

(解)→②

 

 

(演習3)

次のア 〜エは、ボウルビィ(Bowlby, J.)による愛着の発達過程について示したものである。発達段階として正しい順になっているものを、次の①〜⑤の中から一つ選びなさい。(2008年実施40)
ア ひとり(または数人)の弁別された人物に対する定位と発信
イ 人物弁別をともなわない定位と発信
ウ 目的修正的協調性の形成
エ 発信ならびに動作の手段による弁別された人物への接近の維持

①ア→イ→ウ→エ

②ア→エ→ウ→イ

③ウ→エ→イ→ア

④イ→エ→ウ→ア

⑤イ→ア→エ→ウ

 

(解)⑤

 

(演習4)

次の各文は、発達の理論について述べたものである。誤っているものを、(2006年実施40)
①ハヴィガースト(Havighurst,R.J.)は、発達段階に応じて、達成しなければならない課題を「発達課題」とした。
ピアジェ(Piaget, J.)は、認知の発達は、「感覚運動期」、「前操作期」、「具体的操作期」、「形式的操作期」の4つの質的に異なる段階を経ながら進むとした。
③シュテルン(Stern, W.)は、遺伝の影響と環境の影響が輻輳して発達に現れるとする「輻輳説」を唱えた。
ヴィゴツキー(Vygotsky,L.S.)は、発達を「すでに到達している現在の水準」と「現在発達しつつある水準」の2つの水準に分けて考察し、前者の「すでに到達している現在の水準」を「発達の最近接領域」と呼んだ。
エリクソン(Erikson, E.H.)は、青年期の課題として、「自我同一性の確立」を重視した。

 

(解)④

→「発達の最近接領域」は「現在の発達水準」と「明日の発達水準」の間の領域である。

 

今回はここまでです。