【易しめ解説33】知能に関する理論。スピアマンの二因子論、サーストンの多因子論、ギルフォードの立体モデル

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今回は知能に関する理論をまとめます。

ウェクスラーによる知能の定義

まず、知能とは何か?という問いに対しては、いろいろな学者の定義がありますが、次のウェクスラーによる定義が広く受け入れられているようです。

「知能とは、目的に合うように行動し、合理的に思考し、自分の環境を効率的に処理する総合的な能力である。」

知能の構造

ではここからは、知能の構造について3つの理論を紹介します。

統計学の手法などにより、知能は、いくつかの要素から構成されることがとわかっています。では、どのように構成されているのか、いくつか理論をみていきましょう。



スピアマンの二因子論

スピアマンは、知能は一般因子と特殊因子という2つの要素から構成されると考えました。一般因子はすべての知的活動に共通して働くもので、特殊因子は個々の活動それぞれに働くものです。

サーストンの多因子論

サーストンは、上のスピアマンに対立する形で、知能を主に

知覚、言語、記憶、空間、数、推理、語の流暢さ

の7つから構成されるものと考えました(覚える必要はありません)。スピアマンの理論をみて、ストンと腑に落ちず、2つじゃ足りねーだろ、と考えたわけですね。

ギルフォードの知能の立体モデル

YG性格検査で有名なギルフォードは、さらに上記2人よりさらに複雑な、立体モデルという構造を考えました。知能を「内容」「操作」「所産」という3つの側面の組合せからとらえようとしたのです。これらはさらに

「内容」は4個、「操作」は5個、「所産」は6個

のカテゴリーからなり、結果として知能が4×5×6=120種類の因子から構成されるとしました。これがYG性格検査の120問の問題数にもつながっています。



(演習)

2問ほどやってみましょう。

(演習1)

次の文の( ア )〜( エ )にあてはまる言葉の組合せとして正しいものを①〜⑤のうちから一つ選べ。(2005年実施40)
ウェクスラー(Wechsler, D.)は、知能を「目的的に( ア )し、合理的に( イ )し、能率的に環境を( ウ )する個人の( エ )的・全体的能力」と定義している。この定義の特徴は、知能というものを意欲や性格要因とも関連する柔軟な課題解決能力として位置づける幅広さである。

①(ア)行動 (イ)思考 (ウ)理解 (エ)分析

②(ア)学習 (イ)思考 (ウ)受容 (エ)総合

③(ア)行動 (イ)記憶 (ウ)処理 (エ)分析

④(ア)学習 (イ)記憶 (ウ)理解 (エ)総合

⑤(ア)行動 (イ)思考 (ウ)処理 (エ)総合

(解)⑤

日本語の感じから(イ)が思考だろうということで①②⑤の3つに絞れますが定義に触れたことがないとそれ以上削るのは難しい問題だと思います。

(演習2)

次の文の[ ア ]、[ イ ]に当てはまる人物を選択肢から選べ。(2006年実施42,改題)
(1) [ ア ]は、知能が一般因子(g因子)と特殊因子(s因子)からできていると考え、2因子説を唱えた。
(2) [ イ ]は、知能よりひろい知性のモデルを構想し、「内容」、「操作」、「所産」の3次元からなる立方体のモデルを提唱した。

【選択肢】サーストン、スピアマン、ギルフォード

(解)[ア]スピアマン [イ]ギルフォード

スピアマンが二因子論、サーストンが多因子論でしたね。

今回はここまでです。

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